マングローブ生態系とは

マングローブとは熱帯、亜熱帯の河口など、潮の満ち干の影響を受ける場所、つまり潮間帯・感潮域に生育する植物の総称です。それらの植物とそこに生息する動物などで構成される生態系がマングローブ生態系と呼ばれます。マングローブ林は世界123ヵ国・地域での分布が知られ、総面積は152,360km2、世界の熱帯雨林の1%、世界の森林総面積の0.4%です。

マングローブ生態系の重要性

面積的には小さくても、その用途・機能は多様で、建築材、燃料材、家畜の飼料、食用、薬用、染料などに利用されるばかりでなく、漁場やレクリエーションの場を提供し、高潮や強風、海岸侵食から住宅や農地を守る「自然の防波堤・護岸」としての役割も果たすなど、沿岸地域に住む人々の暮らしと密接に関わっています。また、マングローブ生態系は、「海の命のゆりかご」に例えられるように、海の生物の生息場所、餌場、産卵場を提供するなど、沿岸域の海生生物とも切っても切れない関係にあります。したがって、マングローブ生態系を保全することは、人々の暮らしを守ると同時に、たくさんの生物を保全することにも繋がります。

マングローブ生態系と炭素蓄積量

沿岸地域に住む人々に多くの恩恵をもたらしているマングローブ生態系ですが、高いバイオマスを蓄積しています。特に地下部での炭素蓄積量が高く、森林生態系の中で最も生産性の高い生態系の一つとして知られ、地球上の炭素循環に占めるマングローブ生態系の重要性が注目されています。 太平洋地域のマングローブ林の地中の炭素蓄積量は亜寒帯林、温帯林、熱帯高地林のそれらの3倍から4倍以上にも達します。(Donato et al., 2011より)

マングローブ生態系の保全に向けて

 マングローブ林は過剰な伐採や開発により急激に面積を減らしつつあり、その面積の約1%が毎年失われています。これは世界の森林消失の3倍から5倍の早さと推定されています。マングローブ林がなくなると、森林資源や水産資源に依存している沿岸地域の人々の生活に大きな打撃を与え、野生動物の生息場所や餌場が失われることになります。ここ数十年間のマングローブ林の消失は住宅用地、工業用地、水産養殖池、農地やオイルパーム(アブラヤシ)農園への転換など経済活動によるものが主な原因で、海外から輸入している一部の冷凍エビ、木炭やパームオイル(ヤシ油)もマングローブ林の減少の一因です。

 現在、世界中で、現存するマングローブ生態系の保全と持続可能な管理およびマングローブ林の再生が急務の課題となっています。国際マングローブ生態系協会(ISME-イスメ)は20年以上にわたり、世界約20か国で、マングローブ林の保全や再生の活動を行ってきました。ISMEの蓄積した知識、長年にわたる現場での経験、国際協力を通して得られたネットワークは多くのプロジェクトに活かされています。

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